【連載】在住ライターがオススメするドバイ最新情報vol.10
「ドバイ旅行 知っておきたいこと」

5月27日に始まった今年のラマダンが、6月24日に無事終わったドバイから、こんにちは。



このラマダン期間中、イスラム教徒は日の出から日没まで、一切の飲食を断ちます。 「ラマダン」と聞くと、ひたすら空腹と戦い、イスラム教徒にとっては苦しい1ヶ月、というイメージが先行しますが、実際は多くのイスラム教徒が心待ちにしており、お祭りの感覚のようです。 勿論、日中は一切の飲食を断つわけですから、忍耐力は必要です。 と同時に、心身の修行を通して神に信仰を捧げ、その同じ修行をイスラム教徒が共有する、と言う1年の中で最も神聖な1ヶ月なのです。 


街もお祝いムードで、挨拶は"Ramadan Kareem" (ラマダンおめでとう)の1ヶ月なのです。


さて、第10回目は
「ドバイ旅行の際に知っておいた方が良い事」についてお伝えしたいと思います。





服装は?


過去の記事(第3回目)でも触れましたが、異教徒に非常に寛大でありオープンである、ドバイ。 しかしながら、異教徒である私達も、ドバイ=イスラム教都市という事は決して忘れてはならないように思います。

しかしながら、ショッピングモールなどの多くの人々が集まる公の場で、ミニスカート、ショートパンツ、オフショルダー、キャミソール姿の女性を見掛けたりもします。 そして事実、そういった服装の女性は、否応なく目立ってしまっています。

この点については、完全に個人の判断に委ねられる所ではあるのですが、極端に露出の多い格好は避けた方が良い、と考えています。 私個人としては、ショッピングモールやスークなど、公の場では肩と膝は隠すように心掛けています。 事実、膝と肩が出ている服装の女性が、セキュリティから注意を受けたり、テーマパークの入場を拒否されたり、という事もあるのです。

男性の服装に関しては、膝丈または膝下のハーフパンツやフルレングスのパンツ、半袖かそれ以上の長さのトップス、というスタイルが多いように思います。 男性のタンクトップ姿は、公の場ではほぼ見掛けません。

(ショッピンモールの多くは、出入り口に上記のように注意を促しています)。


なお、モスクのように、取り分け神聖な場所へ立ち入る際は、更なる注意が必要です。

上記は、ドバイのお隣の首長国アブダビにある、Sheikh Zayed Grand Mosque の公式ホームページに記載されている、訪問時のドレスコードです。 (Sheikh Zayed Grand Mosque Center 公式HPより)

(余談ですが、こちらのモスクは異教徒にも開かれており見学が可能です。 万一こちらにモスク訪問にそぐわない服装で来てしまった場合でも、心配要りません。 そういった方の為に、男女用の衣装の無料貸出があります)。



一方で、ビーチやビーチ沿い、完全なプライベイトな空間、例えばホテル内レストランや、ホテルのプールなどは、そこまで気にする必要は無いと思います。 ホテル内のプール、プライベイトビーチ、ウォーターパークなどでは、異教徒の女性はビキニ、男性はスイミングパンツ1枚で過ごしています。




イスラム教の禁忌 飲酒は?


人口の8割が外国人のドバイ。 更には、観光業に注力しているだけあって、異教徒が街中で簡単にお酒を楽しめるよう、考慮されています。  ドバイには、数々の名立たる5スターホテルが軒を連ねており、そのほとんどがアルコール販売権を持っているようで、その中のレストランやバーで簡単に注文し、アルコールを楽しむ事ができます。

ここでご注意頂きたいのが、その敷地から外へは持ち出さないという事です。 日本のお花見のように、公園やパブリックビーチでの飲酒は、法に触れます。 また、酔った状態での外歩きも御法度です。 酔って、ふらふらと千鳥足での外出は、お控えください。



豚肉は?


同じく、イスラム教徒の禁忌、豚肉を食す事ですが、こちらもホテルのレストランなどで頂くことができます。 ブッフェスタイルの場合、イスラム教徒に配慮して、「豚肉セクション」として、他と離されていたり、パーテーションなどで区切られていたりします。 スーパーマーケットでも、「非イスラム教徒向け」とし、区切られた売り場が有り、そこで豚肉や豚の加工肉、豚のエキスの入った食材なども手に入ります。



治安は?


一言で言うと、とっても良い!と思います。 中東という事でご心配されている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に住んでいる身としては、今現在特に危険は感じていません。 これは、日本人のみならず、他国出身の住人も同様の考えを持っています。 現に、"safest cities in the world" などと検索すると、かなりの確率でドバイがランクインしています。


こちらも余談になりますが、ドバイの街中では、ドバイ首長である H.H. Sheikh Mohammed bin Rashid Al Maktoumや皇太子とすれ違う、という事が起こります。 日本では、天皇陛下や首相と街中ですれ違う、などとはまず無い事のように思います。

私も、ホテルのエントランスでドバイ首長とすれ違いました。 独特のオーラは出ていたのですが、何ともフレンドリーで、抱いていた下の子にウィンクしてくださったり、私達から僅か1mの所をたった2人の男性と歩いていらしたので、まさか、まさか首長ご本人だと思わず。 お写真をお願いできなかったのが悔やまれるところではあります。 日本だと、要人は数多くのSPを引き連れていると思うのですが、ここドバイではそれ程警戒する必要はないのだと、この時改めてドバイの治安の良さを知ったのでした。


以上が、治安に対して個人的に思うところではありますが、私自身も此処は異国の地であるという事は常に意識しながら、そして日々安全に生活できる事に感謝する気持ちを忘れないように行動しています。 また、外務省の海外安全ホームページも頻繁にチェックするようにしています。




ラマダン中の街の様子は?

(Mall of the Emirates のラマダンデコレーション。 ラマダンは必ず新月から始まるので、月はとても重要です。 月、星、アラビックポットやアラビックランプがラマダンの主なモチーフのようです)。



期間中、街中がキラキラしたラマダンデコレーションで華やぎます。 また、断食中のイスラム教徒に配慮して、勤務時間や学校の授業時間の短縮が行われます。 朝は8:30〜9:00始業、そして13:30〜14:30には終業の企業や学校が多いように思います。

宗教の為に?と、日本では考えられないような対応ですが、ラマダンがいかに重要であるのか、と同時に、大勢の親族が集いお祝いしている様子は、まるで日本のお正月のようで、何だか羨ましくもあるのです。

子供や妊婦、病気を患ってる方は、断食はしないとの事ですが、各々の家庭の意向で、小学低学年から断食を始める子もいるようです。 我が家の上の子のクラスメイトも数人、断食に挑戦しているようです。



いつもは賑わっているショッピングモールも、日中は閑散としています。 イスラム教徒は、ほぼ夜通しお食事やお祈りで起きているので、仕事以外は日中は出来る限り眠って過ごしているだとか。

通常は、流行の曲を流してるようなショッピングモールでも、この期間は音楽を自粛しています。 ですので、余計に静けさを感じます。

一方、断食が明けた日没後は、いつも以上の人出で賑わっているようです。







ラマダン中、異教徒の私達が気をつけるべき事は?


日中の飲食

異教徒の私達も日中の断食を強いられている、というわけではありません。 自宅やホテルの部屋の中であれば、普段通り飲食が出来ます。

しかしながら、日中の公の場所での飲食は、私達も控えねばなりません。 水を飲むのは勿論、アメやガムも禁じられています。

一方で、ここ最近はショッピングモール内のフードコートは、中が見えないようにパーテーションで区切り、通常営業をしています。(モールによっては、フードコートの中であっても、正午迄は飲食を禁じている所があります)。


(この中がフードコートになっています。 このように、パーテーションで区切られています)。

また、中が見えないように配慮しながら通常営業をしているレストランや、持ち帰り限定で営業している店舗もあります。

(こちらのベーカリーは、中が見えないようパーテンションで遮りながら、持ち帰り限定で営業しています)。


ホテルの中は、通常時よりはやや制限があるように思いますが、レストランも日中から営業しており、ドリンクやフード、そしてアルコールを楽しむことも可能です。


ここ数年で、異教徒に対し、格段に寛容になってきているようです。 フードコートも2年前までは開いてなかったのだとか。 ですので、今の状況では、ラマダンだからと言って、特に困るような事はありません。

補足ですが、小さな子供に関しては、イスラム教徒でも異教徒でも、通常通りの飲食が可能です。



ラマダン中の服装は?


この期間中、公の場所では、女性は、肩と膝が隠れる服装をお勧めします。 

神聖な1ヶ月間ですので、やはりいつも以上にイスラム教徒に配慮すべきだと考えます。

通常時は、アバヤ(全身を覆い隠すアラブの女性民族衣装)ではなく、長袖にジーンズ、頭にヒジャブ(頭を覆い隠す布)を巻いているだけの女性イスラム教徒も、この期間はきっちりとアバヤを着ています。 

しかし、前述のように、プライベイトな空間(ホテル内レストラン、ホテル内プール、プライベイトビーチなど)では、通常時同様で問題無いようです。 現に、ラマダン中であっても、ホテル内プールやウォーターパークでは、女性はビキニ、男性はスイミングパンツのみで過ごしており、そういった所にいると、ラマダン中である事をすっかり忘れてしまう程です。



ラマダン中は何かとお得!


ショッピングモールは通常通り営業を行っていますが、前述の通り日中は非常に空いているため、とても買い物がしやすいです。 それに加え、ラマダンセールがあちらこちらで行われ、とてもお得な1ヶ月なのです。 セールの対象は、食料品、日用品、衣料品、そして家具や家電、更には車まで!

そして、ショッピングだけではなく、ホテルも価格を大幅に下げる為、憧れのホテルにお得に泊まるチャンスなのです。



ラマダン中のドバイ旅行、お勧めします!

敬遠されがちな、ラマダン中のドバイ旅行ですが、私はお勧めします。 普段より、更に濃いアラビックの雰囲気を味わえ、更にお得に色々楽しめる!

イスラム教徒への配慮は勿論必要ですが、その点を考慮しても、やはり良い事の方が多い気がするのです。


異教徒に対しとても寛大で、オープンに受け入れてくれる、ドバイ。 その分、私達もイスラム教に配慮し、楽しくドバイを楽しみたいですね。