【連載】在住ライターがオススメするドバイ最新情報vol.22
贅の極! シェイク・ザイード・グランド・モスク
Sheikh Zayed Grand Mosque

Ramadan Kareem! (ラマダンおめでとう)
5月17日から、約1か月の神聖なラマダンが今年も始まりました。

イスラム教徒は、夜明け前のお祈りFajr(午前4:05頃)から日没後のお祈りMaghrib(午後7時過ぎ)までの約15時間、一切の飲食を断ちます。 40度を越える暑さの中、水さえも口にしない敬虔なイスラム教徒。 異教徒である私たちには、日中の断食の義務は一切ありません。 しかしながら、日中は、断食中のイスラム教徒への配慮から、我々異教徒も公共の場での飲食は控えなくてはなりません。

そうは言うものの、ドバイやアブダビは異教徒に対し益々寛容になっているようで、パーテーションで区切ったり、カーテンを掛けたりしながら、日中から営業しているレストランやカフェ、フードコートも多く、特に困るという事はありません。 こういった寛容な点も、ドバイやアブダビに世界中から旅行者が集まる理由の1つですよね。

個人的には、このラマダン期間中のドバイやアブダビへの旅行をお奨めしています。
勿論、イスラム教徒への一層の配慮は必要となりますが、この神聖な1か月しか味わえない神秘的なアラブの雰囲気があるのです。 厳かで神聖で、とても神秘的と言えます。 また、あちらこちらでラマダンセールがあり、日用品からホテルの宿泊まで、とてもお得な期間とも言えます。

前述した一層の配慮とは、日中の公共の場での飲食は避ける、過度な露出は控える、大きくはこれら2点かと思われます。 ラマダン期間中の服装についてご参考までに、私はマキシスカート、そして半袖以上の長さのあるトップスを着用しています。 普段露出が高めの欧米の友人達も、いつもよりスカートの丈が長かったり、大きめのスカーフで上半身を覆ったりして対応しています。
異教徒を寛容に受け入れてくれるからこそ、こちらも出来る限りの配慮はしたいですよね。

(ラマダン期間中の日中のフードコート。 パーテーションを抜けると、異教徒向けに通常営業が行われています)。


さて、このラマダン期間中に相応しい、 澄んだ青い空に純白が映える シェイク・ザイード・グランド・モスク Sheikh Zayed Grand Mosque をご紹介します。 
Trip Adviser による "world's favorite landmark" では毎年2位や3位にランクインし、訪れる人々を魅了し続けています。

当モスクは、アラブ首長国連邦の首都であるアブダビにあり、ドバイからも車で約1時間半でアクセス可能である事、見応えのある現代イスラム建築のモスクが、何と無料で異教徒へも開かれているという事から、ドバイからの日帰り旅行者も数多く見られます。

UAE建国の父 シェイク・ザイードの長年の夢

シェイク・ザイード・グランド・モスク Sheikh Zayed Grand Mosque は、アラブ首長国連邦 建国の父 シェイク・ザイードに由来しています。  「世界の文化の多様性を、様々な建築様式・美術様式を用いることで尊重するモスク」を作りたいという夢を、長年抱いていたシェイク・ザイード。 1980年代後半から構想が始まり、1996年に建築開始、2007年に完成しました。
シェイク・ザイードは完成を待たずして2004年にこの世を去り、当モスクで最初に執り行われたのが彼の葬儀となったのでした。 彼は、敷地内に埋葬され、今も絶え間なくコーランがよまれています。

今年2018年は、シェイク・ザイード生誕100年の年。 歴史的な記念日を国をあげて大々的にお祝いしており、街中で "the Year of Zayed" のロゴや特設会場を見掛けます。 いかに彼が愛されていたか、そして今尚愛され続けているのかを知ることができます。


異教徒を受け入れてくれる寛容さに感謝し、
ルールを守り神聖さを味わう

異教徒である私たちが見学できるモスクは、多くはありません。 そのような中で、アラブ首長国連邦 国家公式モスクにも指定されているこのグランドモスクが、異教徒に開かれているという事に感銘を受けます。 故シェイク・ザイードの多様性を尊重するという精神が、反映されているのですね。 
寛容さに感謝し、ルールは必ず守るべきです。 ルール、と言っても難しい物は1つも無く、相応しい服装、飲食禁止、騒がない、禁煙ぐらいかと思います。

さて、見学の前に、男女別に分かれたこちらの入り口から入り、セキュリティチェックを受けます。
水のボトルやライターは、こちらのセキュリティチェックで引っかかる様子です。 セキュリティレーンの前に、簡易な箱が置いてあり、そこが仮置き場となり、 モスク内を見学後に、そこから自分の物を持ち帰る事ができるようです。 全て自己責任との文言がありましたので、念の為ご留意ください。

セキュリティチェック後は、ドレスチェックがあります。
男性は膝と肩がきちんと隠れているか、女性は髪・首元・腕・足が完全に隠れいているかのチェックがあります。 また、男女とも上記の条件を満たしていても、身体のラインが出る服装では許可されません。
万が一、こちらで引っ掛かったとしても、男女とも無料のドレスの貸出がありますので、ご安心ください。
"Dress Code"   Sheik Zayed Grand Mosque Center 公式HPより。


息を呑むほど美しい回廊

4本のミナレット、82個のドーム、1,000以上の回廊の柱から成るグランドモスク。
礼拝堂本堂に入るまでの回廊や中庭の美しさにも、思わず息を呑みます。

1,000本以上ある回廊の柱は、柱全体でナツメヤシをイメージしているのだとか。 
大理石に、数々の宝石やゴールドが埋め込まれています。



まさに贅の極!
世界最大級のシャンデリア、そして世界最大手織りのペルシャ絨毯
礼拝堂本堂に入る前に、庭園をイメージした広間を通ります。 イスラム建築では、人や動物は用いず、このような草木、アラベスク模様、アラビックカリグラフィーが用いられます。

こちらの広間でも、大理石に埋め込まれた数々の宝石やゴールドが美しく輝き、アラベスク模様が一段と引き立ちます。



礼拝堂本堂に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、総重量12トンとも言われているシャンデリアです。 同じシャンデリアが何と3つも飾られているのです。


そして、足元は世界最大手織りのペルシャ絨毯。 1,200もの熟練工が1年かけて、織り上げたのだそうです。 デリケートな手織り絨毯を守るため、靴を脱ぎ、見学者が通れるルートも日によって異なるというのも納得です。 

絨毯の模様である円形の中央に、シャンデリアの雫が零れ落ちそうなデザイン。 カーペット、シャンデリア、そして随所に散りばめられたクリスタルは全て関連性を持っていて、静寂さを表してるのだそうです。

イスラム教徒は、カアバ神殿(イスラム教の最高の聖地)の方角に向かい祈りを捧げますが、その方角にあるのがキブラの壁です。 ゴールドのくぼみがキブラを示すミフラーブ、その傍ら(通常右側だそうです)に置かれているのが、ホワイトゴールドとパールで装飾されたミンバル(説教台)。
異教徒である私も、何だかとても神聖な気持ちになります。

本堂11か所に設置されている、日の出とお祈りの時間を表す時計。 マザーオブパールで装飾されています。
日付は、西暦とイスラム暦で表示されています。


また、無料ツアー(英語)やオーディオガイド(日本語対応可能)の無料貸出もあります。 オーディオガイド貸出の際、身分証明書が必要です。 パスポートやアラブ首長国連邦在住者に発行されるEmirates IDでは取り扱い不可との事。 日本の免許証を是非お持ちください。
実際、何度訪れても豪華絢爛な様子に息を呑み、神聖さに感動に値する場所です。 
このモスク訪問を最大の目的に、旅行を組む方が多いのも納得。 
訪問の価値有りです!



Sheikh Zayed Grand Mosque Center 公式HP
https://www.szgmc.gov.ae/en/Home

見学可能時間
・土曜日〜木曜日 午前9時から午後10時まで
・金曜日 午後4時半から午後10時まで
※ラマダン期間中は土曜日〜木曜日のみ 午前9時から午後1時まで。金曜日は見学はできません
※ 2018年6月の情報です。 変更になる場合がありますので、ホームページでご確認ください。

クルーズ旅行の寄港地ドバイからのアクセス
車で約1時間半。 ドバイからツアーも沢山出ていますが、タクシー料金を検索してみると、片道約200AED≒6,000円。


クルーズ旅行の寄港地アブダビからのアクセス
車で約20分。 タクシーだと片道約40AED≒1,200円